ホーム > 気球による高層気象観測 > 高層気象観測の歴史
測風経緯儀は光学測器であることから雲でさえぎられる時や、霧、雨、雪等で天気の悪いときは観測ができませんでした。このため、天気に左右されることなく高層風を観測するため、自由気球に電波を発信する無線送信器(ラジオゾンデ等)を取り付けて飛ばし、これを方向探知機で追跡する方法が開発・導入されました。無線方向探知機は、常に最新の無線工学および電子技術を採り入れ進歩を遂げてきました。
D44型最大感度式方向探知機は、5素子の八木アンテナと受信機が一体となっており、三脚に載せて使用します。ラジオゾンデ等の方位角と高度角は、手動操作でアンテナを上下、左右にふって、受信音が最大になる方向を探して測定します。使用周波数は408MHzで、1948年から1952年頃まで使用しました。
D49E型等感度式方向探知機は、特性の等しい4個の八木アンテナを配置し、各アンテナからの受信レベルが等しくなる方向を電波の到来方向として方位角と高度角を測定します。D49E型等感度式方向探知機は、方位角と高度角を同時に測定し読み取ることができました。使用周波数は408MHzで、1950年から1957年まで使用しました。
D55A型自動追跡記録型方向探知機は、在日米軍から1954年に自動追跡型方向探知機を譲り受けて、これをモデルに製作されました。この方向探知機は、波長の短い1,680MHzの電波を使用する方式で、パラボラアンテナを用いて指向性の向上を図り、自動追跡を可能にしています。方向探知の方法は、円錐走査方式で、アンテナビームを回転させて、ラジオゾンデ等からの到来電波の等しい点をパラボラアンテナが自動的に追跡して行います。1957年から1972年まで使用しました。
D55B2型は、基本性能がD55A型と同じですが、電子部品が電子管(真空管)からトランジスタやICに変更されました。また、D55B2型は方位角と高度角の駆動モーターにプリントモーターを採用し、サーボ回路の性能向上を図り、追跡の安定性が大幅に改善されました。1972年から1992年まで使用しました。
JMA-91型高層気象観測装置の方向探知機はモノパルス方式です。モノパルス方式は、パラボラの前面に5個のアンテナエレメントを配置しています。中央の1個はゾンデ信号を受信するためのものです。自動追跡の方法は、他の4個のアンテナエレメントに入ってくる信号強度の差を比較して、受信信号の強度が等しくなるようにアンテナを動かして行います。JMA-91型高層気象観測装置は1992年に導入され、2009年まで使用されました。